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金沢発酵コラム

「かぶら寿しの食べごろって、どのタイミング?」

vol.04 - 2025.11.30
四十万谷 正和(四十萬谷本舗 代表取締役)
「かぶら寿しの食べごろって、どのタイミング?」

発酵で風味が変わる!かぶら寿しの食べごろは?

おかげ様で大変好評をいただいております「かぶら寿し体験教室」。

糀や発酵についてご説明させていただいた後、参加者のみなさんでかぶら寿しを漬け込んでいただきます。体験中には様々なご質問をいただくのですが、特にお客様が関心を持たれるのが「かぶら寿しの食べごろについて」です。かぶら寿しは発酵食品のため、徐々に乳酸発酵が進み、風味が変化していきます。それぞれの好みによるところも大きいのですが、今回は「かぶら寿しの風味が変化していく仕組み」と「おすすめのお召し上がりのタイミング」について簡単に書いてみようと思います。

発酵で風味が変わるメカニズムとは?

かぶら寿しを作る際には、塩漬したかぶに熟成させた鰤を挟み、「糀とお米を混ぜて保温し、甘くなった漬け床(※)」で漬けていきます。漬けたあとに、重石を乗せ発酵させます。

※糀とお米を混ぜて適温で保温すると、糀が作り出す酵素(ハサミのようなものだと思ってください。)がお米のデンプンを分解して糖に変えるため、お砂糖を加えなくてもとても甘くなります。いわゆる糀甘酒です。

初めはオケの中がとても甘い状態なのですが、しばらくするとオケの中に乳酸菌が増えてきます。乳酸菌はオケの中の甘み(糖)を食べて、乳酸(酸っぱい味)を出します。つまりオケの中の甘みが徐々に減って、酸っぱい味が増えてくることになります。その中で「甘みもあり、酸っぱさもあり、旨みもある」そしてそれらが絶妙のバランスで調和している状態が「かぶら寿しが一番美味しいタイミング」だと感じています。

発酵が浅いと、各素材の味がややバラバラに感じたり、味が甘くてやや単調に感じられます。一方、発酵が進みすぎてしまうと、甘みが少なく、酸っぱさだけが際立ったかぶら寿しとなってしまいます。(いわゆる乳酸菌が増え過ぎた状態です。)


※「乳酸菌はどこからやってくるのか?どんな乳酸菌なのか」については、また改めて別の回で書きますね。

時代によって変わるかぶら寿しの食べごろ?

実は発酵具合の好みも時代とともに変化しているようで、昔はしっかり発酵したかぶら寿しを好むお客様も多かったのですが、今は発酵は浅めの、甘い状態を好むお客様が増えてきているように感じます。

かぶら寿しを食べなれていらっしゃる方は「もう少し発酵させた方が美味しいね」とおっしゃいます。

一度酸っぱくなってしまうと、元に戻す方法はないのですが、お醤油を数滴だけ垂らしたり、(これは私だけかも知れませんが)ブラックペッパーをかけて食べたりすると美味しくお召し上がりいただけます。先日「おうちで発酵レストラン」でコラボしたシェフは、糀にわさび醤油を混ぜて食べる方法を提案してくれました!!

かぶら寿しは発酵と共に徐々に風味が変わっていきますので、皆様もぜひお好みの状態を探してみてくださいね。

四十万谷 正和 / Masakazu Shijimaya(四十萬谷本舗 代表取締役)

株式会社四十萬谷本舗 代表取締役 / 中小企業診断士
大学卒業後、ハウス食品グループ本社(株)にて人事部門に従事。採用、労務、人事企画、グローバル人事等を経験。
2017年4月に後継者として家業である四十萬谷本舗に入社。2025年8月より現職。

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