金沢発酵コラム
石川県は発酵食大国?ユニークな発酵食品たち
vol.01 - 2025.6.6
四十万谷 正和(四十萬谷本舗 専務)
石川県は発酵食大国?この土地ならではのユニークな発酵食品が沢山あります。
「奇跡の発酵食品」ふぐの子の糠漬け(ぬかづけ)
私は小さい頃から石川県で育ったため、家業に入るまであまり意識することはなかったのですが、どうやら石川県はユニークな発酵食品が数多く存在する「発酵食大国」のようです。
例えば「ふぐの子の糠漬け(ぬかづけ)」。本来猛毒の部位である「ふぐの卵巣」を、塩漬け及び糠漬けして毒を抜いて食べるというハードコアな発酵食品です。
これは石川県でしか製造できない「奇跡の発酵食品」とも呼ばれています。(実は新潟の佐渡島や福井県の一部には、同じくふぐの卵巣を酒粕で漬けた
「ふぐの子の粕漬け」があります。)塩気が強いので、少しずつご飯に乗せたり炙ってお酒のおつまみにしたり、パスタに入れたりして、濃厚な旨みを楽しみます。
一口食べると、発酵した糠特有のチーズや味噌を思わせるような濃厚な香りと、その奥からくるしっかりした塩気、そして濃厚なうまみが一気に押し寄せます。プチプチした食感も特徴です。
全国から四十萬谷本舗に来てくださる発酵好きのお客様もお土産に買って行かれる方が多いです。時々無性に食べたくなる味です。
※ページ下部のリンクより「ふぐの子糠漬」をお求めいただけます。
能登の名産のいか魚醤「いしり」 ※写真は「クリームチーズ能登いしり漬」
また、能登の名産「いしり」も特徴的です。いかの内臓から作る魚醤(ぎょしょう)で、いかの香りと濃厚な旨みが楽しめます。
いしりといえば、まず思い浮かぶのが能登の郷土料理「貝焼き」。大きなホタテ貝の殻を鍋代わりに使い、イカや、エビ、ホタテなどの魚介類、ナス、白菜、ネギ、えのき茸など季節の野菜や海藻を煮て食べます。
特に寒い季節、金沢の和食店や居酒屋で見つけたらぜひ頼んでみてください。お酒と一緒に楽しむと最高です!
ちなみにこの「いしり」、多くのお客様が「食べたことが無い」とおっしゃるのですが、実は全国で販売されている冷凍餃子や
インスタントラーメンに隠し味として使われていることも多く、「気づかないうちに味わっていた」という方の多い商品でもあります。
当店の商品いしりを使用した「クリームチーズ能登いしり漬」も人気です。
※ページ下部のリンクより「クリームチーズ能登いしり漬」をお求めいただけます。
大野のお醤油
その他、金沢の北の港町「大野(おおの)」は醤油の五大産地のひとつでもあり、10件以上の醤油蔵が営業しています。
金沢の醤油はやや甘めの味が特徴です。(九州のお醤油より甘くなく、「まろやかな甘み」と「旨味」が際立ちます。)
味噌・醤油醸造元の私の友人曰く「金沢は新鮮な魚が豊富に取れる。新鮮な魚のお刺身は歯応えが楽しめるが、淡白な味わいなので、甘みや旨みのある醤油が根付いたのではないか」とのことでした。
※ページ下部に「【公式】金沢大野町 観光サイト」へのリンクがございます。
大野町は、江戸時代から続く街並みや、醤油蔵味噌蔵、おしゃれなカフェなどがあり歩いて回るのもとても楽しいです。
私たち四十萬谷本舗のある金沢市中央・南エリアとは違った風情があります。私も時々散歩に行くと、とても良い気分転換になります。
金沢へお越しの際はぜひ訪れてみてください。
「かぶら寿し」と「大根寿し」
そしてもちろん、私たちがお作りしている「かぶら寿し」「大根寿し」も石川県を代表する発酵食品です。
すしという名前が付きますが、いわゆる握りずしでは無く、魚と野菜を糀と米を使ってつけ込む「いずし」の一種です。もちろん石川県内には酒蔵も数多くあり(友人も多いです)まさに、石川県は人々の生活の中に発酵が根付く「発酵大国」と呼べる土地なのです。
※ページ下部のリンクより「金城かぶら寿し」「金城大根寿し」をお求めいただけます。
かぶら寿しと大根寿しについては、今後コラムで詳しくふれていきたいと思います。
四十万谷 正和 / Masakazu Shijimaya(四十萬谷本舗 専務)
株式会社四十萬谷本舗 専務取締役 / 中小企業診断士
大学卒業後、ハウス食品グループ本社(株)にて人事部門に従事。採用、労務、人事企画、グローバル人事等を経験。
2017年4月に後継者として家業である四十萬谷本舗に入社。2019年4月より現職。
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